唐突にチェーンのメンテについてまとめてみます。
なんていうか細かいところまで解説してるサイトって意外と無かったんで。
ていうか多分分かる人は一度チェーンをバラせば分かるからあえて情報として掲載する意味もないのかなとか…
それでも載せる私であった。
まず最初に。
自転車のチェーンは「ローラーチェーン」と呼ばれるものだそうです。
詳しくはWikipediaとかで。
プレートの間にあるブッシュの上にローラーが乗っているという構造になってます。
まずは構造が分からないとどうにもならないので、図を。
一番上の図が外観図、中央が断面図、下が断面図のうち擦れる面を赤く色づけしたものです。
一般的なローラーチェーンと違って、自転車用チェーンはインナーリンクとブッシュが一体になってます。
ローラーの内側の面と接触している部分がブッシュにあたります。
ローラーがあるおかげでスプロケットに沿って滑らかに曲がり、リンクがお互いにピンで接合されているので引っ張られても金属なみの強度で耐えられるわけですね。
で、チェーンに必要な機能は何か、と考えると多分二つしかありません。
- 動力を確実に伝えること
- 動力を少ないロスで伝えること
です。むしろ「ロスなく確実に」って書いて一つにしてもいいくらいですねこれ。
まず「確実に」ですが。
チェーンは切れたり歯飛びしない限りは確実に動力を伝達できると思います。
ですから、これに関しては
- 錆びないように注意する
- 伸びてきたら速やかに交換する
これで充分ではないでしょうか。
なんていうか普通ですね。すみません。
そして「ロスなく」ですが。
これが本題ともいう。
チェーンのせいでロスが発生するのはどんな状況があるでしょうか。
- チェーン自体の弾性により動力がロスされる
- 各リンクがなめらかに動作しないため動力がロスされる
たぶんこんなもんです。
チェーン自体の弾性については、そもそも金属で出来てるのでたいした影響はないですし、もしもそれに不満があるのならチェーン自体を別の、もっと剛性の高い素材で出来たものに交換してください。チタンとか?(ぉ
まあ長々と書いてしまいましたが、チェーンのメンテで重要な点をまとめると以下のようになるってことですよ。
- 各リンクが滑らかに動作するよう、摩擦する部分の汚れを除去し、注油すること。
- チェーンが錆びないよう、注油すること。
- チェーンが伸びてきたら速やかに交換すること。
はい、とても普通です。(ぉ
まず、多分常識なんだと思いますがチェーンが伸びるというのはリンクが伸びる事ではありません。
ブッシュの内側やピンが削れてくるため、見た目上の長さが長くなってしまう事を言います。
チェーンの間に砂埃が入ったりすると、油と混ざり合って一種の研磨剤のような状態になってしまいます。
その状態で使い続けると擦れ合う部分がヤスリで削っているような状態となり、早く磨耗してしまいます。
砂が噛んだ状態ではリンクも滑らかに動かなくなるのでこまめに汚れを落とす事が必要です。
ある程度以上チェーンが伸びた状態で使用し続けると、性能を発揮できないばかりか、チェーンリングやスプロケットの摩耗を早める事にもなってしまうそうです。
チェーンは消耗品なので、伸びたらさっさと交換しましょう。
チェーンは1コマ25.4mm(1インチ)の長さなので、ノギスで長さを測ればどの程度伸びてしまっているか分かります。
(1コマだけ測るのは大変なので50コマ測って50で割るとか工夫は必要)
ノギスで測るのがめんどくさい方は、チェーンに突っ込むだけで伸びているか判定できるチェーンチェッカーとかもあるので用意しておくと安心かも。
まあ説明はこの辺で充分だと思うので。
実際のメンテでどうするべきか!を考えてみます。
チェーンの洗浄
結論から言うと溶剤に漬け置きしてからシャカシャカ振るか、超音波洗浄器を使ってください。
先の図を見れば分かりますが、ローラーの裏側やブッシュの内側も洗浄が必要です。というかそこが重要です。
実際のチェーンを眺めてみてください。
たとえば、これを使わなくなった歯ブラシでごしごし擦ります。
パーツクリーナーやディグリーザーをかけてこれでもかというほど擦ります。
ブッシュの内側の汚れは取れますか?
答えはどう考えてもNOです。
そんなところまでブラシは届きません。
見た目にはピカピカになっても、チェーンの内部には砂ぼこりが残っていて、チェーンを確実に削って、薄くして、伸ばしていってしまうでしょう。
ですから、灯油やディグリーザーに漬けて、油で固着した汚れを溶かし出し、容器を振ったり超音波洗浄することで(直接触れる以外の方法で)汚れを外に出してあげるしか方法はありません。
ピンを全部抜いて分解清掃してもいいかもしれませんが、それだと買い換えた方が安そうですね。
チェーンの注油
これはなかなか難しい。
まず前提条件として、潤滑油の類は他の油と混ざってしまうと本来の性能が発揮できないらしいです。
ですから、まずは入念にチェーンを洗浄し、脱脂しなければいけません。
脱脂については私の場合使っているディグリーザーが水で洗うと乳化して流れるので水洗いすればいいんじゃねーのと思ってます。
でも洗い流した後もなんか残ってる感じがあるので、本当にこれでいいのかは疑問です…。
パーツクリーナなどのアルコール系のクリーナー(揮発するもの)で落とすのもいいかもしれません。
新品のチェーンを取り付ける時は特に入念に洗浄したほうがいいようです。
錆びを防止するために、かなり粘度の高い油がまぶしてある物もあります。
次に、どのような潤滑剤を差すか。
この辺はもう色々試すしかないんじゃないかと。
私の単なる感覚では、
粘度の低い油だと潤滑性能はそれほど高くなく、すぐ油切れする・飛び散りやすいが、汚れが付着しにくい。粘度の高い油は正反対。
という感じがしています。
細かいところについては使ってみないとなんとも言えないです。
最後に、どのように差すのか。
潤滑が必要なのは、最初の図で書いた擦れ合う部分です。
ようするに
- インナーリンクとアウターリンクが重なるところ
- ブッシュの内側
- ローラーの内側
- ローラーとインナーリンクの間
です。ここ以外には油が付いてなくてもかまいません。
力のかかり具合から言うと、重要なのはブッシュの内側とローラーの内側でしょうか。
スプロケットとローラーは擦れ合うわけではなく噛みあうだけなので、スプロケットやチェーンリングやRDのプーリーには注油は不要です。
ただし、まったく油が付いてないと錆びる可能性はあるので油膜を作っておく価値は無くはないと思います。
チェーン自体が錆びない素材であったり、そのように加工してあれば油膜すら不要のはずです。
注油が必要な部分がことごとく内部ばかりなのですが、自転車用のチェーンルブはそれ用に作られているので、外から差して少しの間待っていれば自分から浸透していきます。
ローラーの両側のアウターリンクとインナーリンクが重なっているあたりに差すと、ローラーの内側へ染み込んで行くのがわかります。
また、ブッシュの内側へも多分染みていってます。きっと。こればっかりは分解してみないと本当に染みているのかわかりませんけど。
油を差したら余分な油をふき取って完成、というのが良く見る説明です。
余分な、ってどの程度拭けばいいの?というのが私はよくわかりませんでしたよ。
しかし構造を考えれば…
注油が必要なのはすべて内側なので、外側は全て拭き取ってしまってかまわないわけです。
というか、外側が油まみれだとホコリなどを拾いやすくなってしまうので、拭き取るべきです。
以上。たぶんこんなところです。
要するに潤滑性能に問題が出てくるくらいに油が切れてきたら注油して、汚れてきたり使うルブを換えたくなったらしっかり洗浄。
これによってチェーンは本来の性能を発揮でき、寿命も延ばすことが出来るはずです。
※ 2009/01/21 追記
チェーン購入時についているねばっこいグリスですが、これは落とさないほうが良いとの説もあります。
シマノの人が言ってた!と2ちゃんねるに書いてあったのを見た気がする…という程度の信憑性だったりしますが。
シマノの説明書がPDFでダウンロードできますが、ここでチェーンの説明書を見ると「チェーンの洗浄には中性の洗浄液を使用してください」とあります。中性洗剤とかですかね。
酸やアルカリは金属を侵すと思うので、中性洗剤は何気に優秀かもしれません(石鹸は弱アルカリ性ですよね)。油汚れも落ちるし。ただ洗浄した後に水を乾かすのがちょっと大変な気がします。熱湯ですすいで干しておけばすぐに蒸発しそうですね。
中性ではない食器用洗剤も最近はあるようなので注意。
※ 2011/01/11 追記
以前は結構マメにチェーンを洗浄して注油してましたが、最近はもうめんどくさいんでw、以下のような方法を使っています。
チェーンが汚れてきたらそのまま粘度低めのオイルを全てのコマに差して、クランク逆回転をしばらく続けます。 そうすると油と汚れが混じったものが浮いてくるので丸ごとウエスでふき取って完成。はやっw
ふき取りは入念にやりましょうねっ。(やってるつもりだけどしばらく走ると黒い油が浮いてくる…。)
記事を疑似トラバさせてもらいました。
あとこのブログ自体のリンクいいですか?