照明器具としてLEDが目立ってきました。

でも白色LEDの色はなんか気に入らない。
副都心線池袋駅からJR池袋駅に行くところの通路の照明の色が、どうも白色LEDらしい。
なんか明るいんだけど暗いような、青っぽいような違和感があります。
日本橋三越の半蔵門線改札側出入り口の天井にも使われてました。
嘘くさい白色だから気付きます。

なんで白色LEDの色が嘘くさいのかというと、今出回っている白色LEDは青色LEDに黄色い蛍光体を被せて白に見せているから。
蛍光体というのはエネルギーを吸収して光を発散する物体です。
白色LEDの場合は、青い光を吸収して黄色い光を出す蛍光体が使われてるわけです。
黄色は光の三原色で言ったら赤+緑です。それと、元々の青い光が混ざるので白色っぽく見えます。

光の三原色は赤・緑・青で、これを混ぜればどんな色でも作れる事になってますが、実際には光は電波の一種で、その波長の長さによって色が無段階に違うわけです。
黄色は黄色であって、赤+緑ではありません。
じゃあ何で赤と緑を混ぜたら黄色に見えるのか、という話しになりますが、多分人間の視覚神経が主に赤・緑・青を感じるようになっているからです。
赤+緑を見たときと、黄色を見たときに、網膜の神経の刺激のされ方がたまたま同じっぽいので同じ色に見えるということです。

白色というのは全ての色の光が混ざった色です。
赤+緑+青ではありません。黄色も水色も紫色も、その中間の色もすべて均等に混ざっているのが本当の白色です。

…とか言っても分かりにくいので、照明の性能を表記する際には、横軸に色(波長)、縦軸に光の強さを取ってグラフを描いて示すのが一般的です。
これをスペクトルと言います。

転載するとめんどくさそうなので、興味のある方はググって見て下さい。

太陽光 スペクトル

白熱電球 スペクトル

蛍光灯 スペクトル

白色LED スペクトル

で、調べてみると分かるんですが、全ての波長の光が満遍なく出ているのは太陽光と白熱電球なんですねー…。(他にもありますけど)
実は蛍光灯の仕組みも白色LEDに近いものがあって、放電で発生する光は紫外線です。それが蛍光管内部に塗布されている蛍光体に当たって可視光線に変わるので白く見えるようになっています。
「蛍光灯」は蛍光体使ってるからそういう名前になったんでしょう。単なる名詞としか思ってなかったのでアレですが。

さて。

LEDで良い感じの照明を作りたい。
でも白色LEDの光はウソ臭いので、RGB3色混合で行ってみたい。
というわけで、LEDを3色買ってきてハンダ付けしました。

IMG_5908

3×9=27個のLEDです。
点灯させるとこんな。

IMG_5909

色が混ざりやすいようにバラバラに配置しています。
配置が分かりやすいように露出を下げて撮ったのがこちら。

IMG_5914

これで照らせば光の三原色を全てカバーしているので最強!

と思ってましたが2chで以下のような意見を頂いて「ああ、それでもダメですか…」となりましたよ。

487 :774ワット発電中さん:2010/04/22(木) 22:24:16 ID:Nc44iQLc
>>485
人間の目の特性と同じRGB三色を使えば演色性は完璧
そう思ってた時期が俺にもありました

RGBをディスプレイとかの表示として、出た光をダイレクトに目が受ける分にはそれで良いんだよ。
しかし、照明用途としては照らし出され物の見え方、つまり反射光が良く再現されないと意味がない。
反射光ってのは光源のスペクトルに対してフィルタを掛ける事になる。
例えば黄色の純色だけを反射する素材を考えると、RとGの波長を光源に使っても反射できる光がない。
ディスプレイからの光はRとGが混ざれば黄色に見えるのに、だ。

つまり照明用光源はなるべく谷間無くフラットなスペクトル分布が必要。
LED単体は出せる波長がピーキー過ぎる。
その中で白色LEDの蛍光体が結構だらーっとしたスペクトルで良い仕事をしてる。
俺も気付いた時は皮肉だなと思った。

自分が演色性を気にしたのはルームランプに使って地図の色が汚すぎたから。
RGBにしたらもっと悪くなった。
印刷物に限ればCMY(K)系の色に対応したLEDを使えば良さそうな気もするけどそこまでやってない。


要するに純色LEDの光は純色すぎる(スペクトル分布が狭すぎる)ので、反射光が主体となる照明用途には向いてないという事だそうです。

というわけで実験してみる。

とは言っても分光スペクトルを見られる装置なんてないので、赤・緑・青・シアン・マゼンタ・イエローと色のグラデーションを紙に印刷して、これを各種照明で照らして写真を撮ります。
写真でいいの?ってなりますが、デジカメのCCDも赤・緑・青を感じ取って画像にするという点では人間の視覚神経と大差ないと思います。

撮影してみた結果が以下。
(どれもホワイトバランス設定は太陽光。ISO100、絞り=F8で絞り優先、MFにて撮影)

IMG_5915

IMG_5916

IMG_5917

IMG_5921

3色LEDは色のマッチングができていないので色合いがひどいですw
ホワイトバランスを写りに合わせて調整したのがこちら。

IMG_5915wb

IMG_5916wb

IMG_5917wb

IMG_5921wb

RGB LED の赤の写りがすごいことになってますが…
まだよく分からないので、下のグラデーション部分だけ切り抜いて並べたのがこちら。

名称未設定-8

特に目立つのが、黄色部分。
RGB LED では黄色が充分に表現できてません。赤からオレンジになっていきなり緑という印象。
これを見てから上の画像を見返すと、確かにRGB LEDでは黄色がオレンジ色に写っています。
白色LEDが予想に反してけっこう頑張っているのが意外でした。ただし蛍光灯に比べると両端の赤や紫が若干暗い。

でもよく考えたら、プリンタがそもそも3色のインクを混合して色を作っているという点が気になってきました…。
ちなみに使ったプリンタはPX-G900です。CMYKに加えて赤と青のインクも使うタイプなので、その点は少しはマシかもしれませんが。

本当ならカラーチャートとか持ってきて比べた方がいいのかもしれません。

で、

仮に演色性の問題が解決されたとしても、発光効率はまだ蛍光灯と大差ありません。(疑似白色LEDの場合)

また、個人でLED照明を作るとしても、実は回路が結構めんどくさいのです。
単純に抵抗で電流を制限しても光るっちゃ光りますが、抵抗が電力を消費してしまうので効率が良くないです。熱も出ます。
(今回のRGBLEDは手軽にやりたかったので抵抗で電流制限してますが、10秒くらいで抵抗がホッカホカになります。)
LEDは熱で劣化するので、こういうのは避けたいところ。

調べてみるとLED用の定電流レギュレータICなんかも実は結構出ているようなので、こういうのを使えば高効率なLED照明が作れそうです。が、チップメーカー直販以外で売っているのを見たことがありません。


そんな感じなので、
白色LEDを使って個人で何か作るのであれば、直流電源で動く白熱電球の置き換え…言ってしまえばクルマのルームランプくらいでしょうか。
メーカー製白色LED電球の使いどころとしては、蛍光灯の置き換えはやめた方がいい。やるなら白熱電球。しかも、色がきれいに見えなくても良くて、つけたらすぐに明るくなってほしいところ。というとトイレくらいですね。

食卓のあかりにLEDを使おうもんなら飯がまずくなりそうです。


LED照明をあんまり勧めまくるのもどうかと思うよーーー


※ 今回の実験はあんまり自信ないので鵜呑みにしないでくださいw
  特に、ホワイトバランス調整とかやっちゃっていいのかという疑問がw